第84話

「サタン智明は思い出した。けど、忠実な犬みたいな男が好きなんて言ってないはず」



「言った」



「いつ?」




全く覚えていないんだけど……。




「……小3の時に大声で教室で言った」



「教室で?」



「そ。教室の人が大勢いる前で『私は智明みたいな悪魔じゃなくて忠実な犬みたいな優しい男の子が好きだもん』って叫んだじゃん」




昔の私ナイス!




「それで変わったのか」



「そ。俺、さっちゃんに好かれたかったから」



「でも、好かれなかったけどね」



「だからもう偽るのはやめた。どう足掻いても惚れないときは惚れないし、惚れるときは惚れるし」




そう言って智明はまたニヤっと笑った。

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