第45話

「マネージャー!」




柔らかくて甘い声が剣道場内に響く。




私を呼んだのは2年の和田君。黒髪で短髪、胴着が似合う清潔感がある男だ。




私は彼に淡い恋心を抱いている。



所謂、初恋ってやつ。




和田君は真っ白な歯をキラリと輝かせて、爽やかな笑顔を浮かべながら私の傍に掛け寄って来た。




距離が近くなるにつれて心臓の鼓動が速まっていく。




「和田君?どうかしました?」




緊張して震えそうになる足をしっかりと踏ん張って、私は和田君に笑顔を返した。




「タオル貸してくれない?」




和田君のキラキラとした眩しい笑顔に立ち眩みがしそうなくらいキュンとする。




半径1メートル以内にいるっていうだけで、緊張で背筋が伸びてしまう。




「タオル?ど、どーぞ!」



「サンキュー。タオル忘れて困ってたんだ」




和田君は私からタオルを受けとると額の汗を拭った。

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