第42話

「そこまで言うなら貰ってあげてもいいけど」




いつまでも、ここで言い合いをしてたって仕方ないし。




別に欲しくて貰うんじゃない。




智明がしつこいから鬱陶しくなっただけ。




ただ、それだけだ。




自分にそう言い聞かせて、スカートのポケットに鍵を突っ込む。




智明は嬉しそうに眩しい笑顔を私に向けてくる。




「すげー嬉しい!」




智明が笑顔でそんなことを言うから恥ずかしくなって、私はそっぽを向いた。




後から鍵を突き返さなかったことを後悔するとは思わずに──。

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