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「ありがとうございます。琉輝さんはやさしいですね」

「翠々には特別かな」

「……え?」


 彼女は一瞬固まり、そのあと遅れて意味を理解したのか恥ずかしそうに頬を染めてうつむいた。

 俺としてはわかりやすく気持ちを示しているつもりだ。少し鈍感な彼女にも届くように。


「SNSをやってるならフォローし合わないか?」


 そっとスマホを差し出して提案すると、翠々は迷うことなく即座に応じてくれた。

 よし、これでいつでもダイレクトメッセージで連絡を取り合える。そう思うとうれしくて自然と顔が綻んだ。


「琉輝さんは風景の写真が多いんですね」

「綺麗な場所を撮影すると載せたくなるんだ」

「私は食べ物ばっかり。恥ずかしいです」


 たしかに翠々のアカウントはコーヒーショップの新作のフラペチーノや、友達とランチをした際の料理写真が多い。

 それはそれで女の子っぽくてかわいいと思うし、ほのぼのとした彼女の日常を垣間見ることができる。


「片づけを急ごう。日が暮れてきた」


 夕焼けでオレンジ色に染まった彼女が綺麗で、もっと見ていたかったけれど、ぼうっとしていたらあっという間に真っ暗になる。

 その予測は見事に当たり、作業を終えるころには藍色に変わった空に星が出ていた。

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