第84話

アヤトやサナちゃんが言ってた『変わってる』って、オカマさんって意味だったんだ?



やばいや。



テレビ以外でオカマさんを見るのは初めてかも?



ガンコ親父みたいな見た目とは違って、口調だけがお姉だ。




「あの……」



「あ、あなたいつから来れる?」



「え?えっと……1週間後?」



「じゃあ、1週間後に来てね。履歴書だけ預かっておくわ」




圧倒されている私をおいて、ピエールさんは履歴書を受けとるとスタッフルームから出て行った。



竜巻が通りすぎたような、強烈な余韻だけを残して。





「本当にいいのかな?面接らしいことを何一つしてないけど……」



「いいんだよ。従業員が足りなくて困ってるって言ってたし。それより素直に喜べって」




アヤトはスタッフルームのイスに腰を掛けてヘラヘラと笑う。




その笑顔のおかげで不安な気持ちが薄まっていく。

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