第12話

「ごめん。食べよっか。私、フォークとお皿を取ってくるね?」



「うん。あ、カンちゃんは何ケーキにした?」



「私はチーズケーキ」





アヤトの問い掛けにサラッと答える。



ケーキの箱をテーブルの上に置いて、すぐさまキッチンに向かった。



食器棚を開けてフォークとお皿を取り出す。





「あれ?ショウは?」




人数分のお皿とフォークを出してたら、ナオがリビングから不思議そうな声で私に尋ねてきた。




「わわわっ」




驚きすぎてお皿とフォークが手から滑り落ちそうになる。



一瞬『あ、ショウ』に聞こえてビックリしちゃった。



心臓に悪いよ。





「カンナ?何やってんの?」




ナオが小バカにしたような声で再び私に尋ねてくる。



キッチンからは死角になっていて、ナオの姿は見えない。



けど、バカにした顔でニヤニヤ笑ってるってことぐらい安易に想像が出来る。



いっつもそうだもん。





「もう!ビックリさせないでよっ。ショウはヒーロー的なオジ様と話してる」



「ふーん。そう。それより早く食器棚、閉めれば?」




自分から聞いてきたくせにナオは興味がなさそうに素っ気ない返事をしてくる。

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