芝見凌駕 KAIKOU編【完】
第42話
おもしろい女に会った。
部下の一人が珍しく、何かを隠している。まぁ、大概のことをうやむやに誤魔化す男だから、いつも通りと言えばいつも通りなのだが。
だが、今回は、何かが違った。
誰かを庇っている。
今回は全て部下任せだったのを変更し、俺は現場に入った。
“現場”は、日本の南に位置する島。
ここはアジア圏の人の出入りが多い。特に中国本土、韓国、台湾の人間が目立つ。
“上”の連中は、その観光客たちに紛れさせてアジア諸国の変態有権者たちを招待し、奴等の醜い欲望を満たしてやる。
変態どもは高額の参加料か、または“上”への情報提供や関係の継続を手みやげに、ウハウハと涎を垂らして倒錯した性癖を満たしにやってくる。
ただの外道ども。だが“上”には大事な“客”。
世間にばれないように、俺たちは奴等をもてなし、“上”はアッパークラスの政治・企業情勢やある程度の犯罪をコントロールする。法制も国内への企業進出もドラッグも人身売買も。まとめて“上”のやつらは采配を振る。
俺たちは指示に従って、法を安定させるために法を破り、人身を守るために人を地獄に突き落とす。
慣れた。
その全てがビジネス、日常、世の中の事実。その程度。
ただの仕事。
だが時々、正義感とやらを振りかざして俺に立ち向かうヤツがいる。
そういう人間をいたぶるのは、俺の趣味。
ごくたまに、そういう人間に出会う。
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