第37話

一つ目の誤算



 小澤和臣の側に、Tがいたこと



 二つ目の誤算



 八嶋が、死んだこと



 

 三つ目の誤算



 小澤和臣と、Tの繋がりが、深すぎること






  最大の誤算



 俺の上司が、Tにご執着なこと





 俺個人の計画は、ボロボロ



 皮肉なことに。




 あっちの計画は、あまりにも順調



 

 俺は情報屋という立場で、小澤和臣の周りをチョロチョロ動けるようになってきた。


 小澤和臣のウィークポイントも把握した。



 懐に、入った。




 そこは完璧だ。


 


 俺の“Tへのコイゴコロと良心”だけが置き去りのまま。



 最後の悪足掻きは、7Ⅶというバンドのボーカル。Tを好きだった男。



 こいつが頼みの綱。



 Tと小澤和臣の間に入って、ほんの少しでも二人の絆を緩めてくれたら。



 チケットを手に、SAWAに出向いた。

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