第29話
(和臣視点)
俺のキスを受け止める達樹。必死に俺にしがみついてくるくせに、油断すればすぐに腕をすり抜けていこうとする茶色い子猫。
この子を俺に繋げる鎖は、ないのかもしれないと不安になる。
だが、首輪の似合わない彼女だからこそ、俺は心惹かれるのかもしれない。
どんな場所でも、自分らしさを探そうとする少女。
キスでも体に与える快感でも、彼女を繋いではおけない。
地位も、金も、この子の前では意味を持たない。
俺は必死になって、彼女を追いかけている。
鎖ほどの束縛を求める気持ちはないが、近頃の俺は彼女との繋がりを探している。
その方法を、考えている。
校舎で過ごす、二人の時間。
このまま未来まで、途切れることのない絆を、彼女に乞う。
夕日が肌を赤く焼く。
俺とのキスが、彼女のこの場所での思い出になれいいと願った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます