薄紅色の君達

あきら(ただいま休養中)

支えて、支えられていた日々。

第1話

初夏を迎え、真夏は相変わらず暑かったものの、祭りや花火を満喫して。

漸く涼しくなり始めた、そんな頃だった。


「友達に逢ってほしい?」


仕事を終えて帰宅し、風呂を済ませ、ソファーでビールを飲みながらテレビを観ていた時。

澪が美咲の隣に座り、そう切り出した。


「うん。

 大学の友達なんだけど、美咲に逢ってみたいって言ってて。

 美咲がいない間、友達…夏と優にも凄く支えられてたの。

 美咲の事は、前に話した事があるから知ってるんだ。

 あたしが女の子と付き合ってるのも知ってる」


自分がいない間、他の友達も澪を支えていてくれた事を嬉しくも思うし、申し訳なくも思う。


「そっか…。

 その2人にも、お礼を言わなきゃだ。

 先に予定を立ててくれれば、私はそれに合わせるからさ。

 うちに呼ぶ?

 私が今いる店でも、どっか他の店でもいいし」


「美咲は美月さんの知り合いの店の手伝いをしてるんだよね?

 あたしは行った事がないから知らないんだよなあ」


「ちょっと都内に近いところなんだ。

 店長さんもいい人だよ。

 まあとにかくさ、そっちで決めちゃっておくれ」



それから数日後。


「今月末の金曜日の夕方からなんだけど大丈夫?」


一緒に風呂に入りながら、澪が美咲に尋ねる。


「今月末…うん、大丈夫。

 美月の手伝いをしなきゃなんだけど、夕方までだから大丈夫だよ」


「ちなみに2人は、美月さんも見たいそうでして…」


「案外欲張りさんだな!?

 じゃあ、美月の店でいいんじゃない?」


「美月店長にも予約しておいた」


「準備万端だね。

 美月はラストまでだから、一緒に飲めないよ?」


「美咲に逢うのが目的なんだから、そこは大丈夫」


にこにこしながら答える澪を見て、美咲はじっと澪の顔を見る。


「随分ご機嫌さんだね」


「そりゃあご機嫌にもなるよ~。

 あたしの大切な人、友達に紹介出来るんだもん」


澪の言葉に、美咲は顔を赤くする。


「…澪のそういうところ、敵わないっす」


「ん?なあに?」


「何も言ってないよ。

 仕事の後だから、体が料理や油臭いけどいいのかな」


「美咲はいつだっていい匂いだし、美咲の匂い好きだもん」


にっこり微笑みながら言われるものだから、照れ笑いを浮かべてしまう。


「あ~も~、あたい上せそうだから先に出るわよ!」


「なんでオネエ口調!?

 あたしも一緒に出る!」



賑やかなお風呂タイムだった。

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