超絶美少年母 (シリーズ1)

ぴぁっちゃいん

第1話

ある朝起きると、母が美少年になっていた。

 

「ジジちゃん、どうしよう。ママ美少年になっちゃったわよ」

という声が、ごく近くから発せられているのに、遠い声として聞こえる。


寝起きが極度に悪い私だが、ここ最近、自力で起きるよう頑張っていた。


目覚まし時計を3個用意して、置く場所も考え抜いた。


1個目は、ベッドから必死で手を延ばせば、かろうじて届く床の上、

二つ目は枕元(これは大音響だ)、そして最後のは、ベッドから出ないと止められない、本棚の高いところ。


とにかく、3個目を止める時には起きれるようにはなっていた。


まだ1個目のも鳴っていないのに、誰かが私の顔の上でしゃべってる。


薄眼を開けると、驚くほど美形の少年の顔が、目の前にあった。


おおお、なんて綺麗な顔、しかも何かしゃべっているし。


美しい映画の回想シーンのようだ。

若い美貌の俳優が、こちらに何か話しかけてるのに、音声はない。

 

ふむ、夢だな、と思ってまた目を閉じた。しかし、

「ね、起きて。この顔を見て。」と、今度は音声があり、誰かが肩を揺らしている。


「うるさいなあ」とつぶやいて、片目を開けた。ぼんやりと何かが見える。


見えたのは、大きな目だった。くっきりとした二重瞼で、涙袋もぷっくりとある。

まつ毛は、長いというより、多い。黒々と目を縁取っていた。


その目が一度ぱっちりと瞬きした。

ほほう、大きな目っていうのは、横にも大きいんだ、とぼんやりその目を見ていた。


誰だろう。綺麗だけど、見たことのない目だ。

うん、まあナイスな夢なのかも、と思いながらまた目を閉じた。

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