第22話

「赤宮」




あたしが雷斗と地佳の顔面にパンチを繰り出していると、風磨が赤宮彩葉に話しかけた。




「なんだよ?」



「なんで咲坂紫の名を出した?」




それはあたしも気になっていた。



聞こうとしたら、リーダーに遮られまくって聞けなかったけど。



雷斗には手を掴まれるも、地佳の顔にはパンチをめり込ませながら赤宮彩葉を見る。




「なんでって、お前も否定しなかったじゃねぇか」




うん、風磨も“咲坂”とは言ったけど否定はしなかった。


でもそれは……




「その紫ってのは他人だからな。俺は身内以外どうでもいい」




ケロッと言ってのける風磨。



あたしは身内で。


咲坂紫は赤の他人。



咲坂紫が害されても、あたしに害がなければ良しと。




「風磨はあたしを愛しすぎちゃってるからね」



「気持ち悪いことを言うな」



「なんだと!?」




風磨!?




「ふざけんじゃねぇぞ、ブス。風磨が愛してるのは俺だ」



「マジかっ!?」



「気持ち悪いことを言うな」




雷斗をかっ。


それは……否定できないなっ。




「違うよ、俺だよね?風磨」



「「「いや、それはない」」」



「なんでだよ!!なんで俺だけキッパリ否定!?」




泣くぞ、なんて言ってる地佳。



可愛い奴だ。



なんてニヤニヤしながら四人でワイワイしていたら




「……入ったからだ」



「「「「うん??」」」」




赤宮彩葉が口を開いたのだけれど、騒がしすぎて誰一人聞こえなかったという。

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