第67話
下は海パン、上はダボっとしたパーカーを着ている辺りもあざといよねこの男。
じゅるじゅるり
フードを被って呑気に欠伸をしている美形を前に溢れ出る涎を呑み込む。
「飛鳥、お水ありがとう。」
「ん。どうせなら口移しする?」
「へ?」
「ふふっ…冗談。真白が一緒に来てくれたからちょっと調子乗っちゃった。」
むしろもっと調子に乗って良いんだよ!?!?!?
ゆるりと口角を吊り上げて、悪戯っぽい表情を浮かべる飛鳥が私の頬に手を伸ばした。
「砂…ついてる。真白が可愛いからくっついて来たみたい。」
心臓が跳ね過ぎて口から飛び出したらどうしてくれんだ。
もう飛鳥を胸キュン容疑で通報しちゃうぞ(やかましい)
「はい、もう砂はなくなったから真白から手を離してくれる?……青葉君。」
暑い砂浜に投下された、冷たい声。
私に触れていた飛鳥の手が、横から伸びて来た手によって奪われる。
反射的に移った視線が捉えたのは、夏の海すら自分を輝かせる為の背景にしてしまっているプリンス夢月。
もうこの人は多分過去にポカリスウェットのCMくらいには出演していたと思う。
「捕まっちゃった。」
夢月の爽やかな笑顔を前に、手を拘束された飛鳥は拗ねたように唇を尖らせた。
ここでひとつ言わせて欲しい。
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