第63話

虎雅の総長及び幹部全員がこんなに頭が良かったなんて…。



特に剣が勉強できるなんて…信じられないというより信じたくない。



だって私よりこいつが頭良いんでしょ!?!?そんなの認めないよ絶対見てろよ次の模試は勝ってやっからな。





「俺達は授業日数が足りないから補習だったの。だから今日でおしまい。」




私の膝に頭を乗せて、大きく欠伸をする飛鳥が「窮屈」と呟いてシャツのボタンを第3まで開けた。



…グッジョブ。




シャツの隙間から見える日焼け知らずの白い肌に、私の目線は釘付けだ。




「そういう事だったんだね。」


「うん。終わったから真白の所に来た。」


「え?」


「お誘いに来た。」




何の?



本日も見事に主語が抜け落ちた飛鳥の言葉の意味を理解するのは難解で、私は首を捻って思考を巡らせる。




「そうだった忘れる所だったぜ。」




そんな言葉が横から聞こえたかと思えば次の瞬間には、頬にあてがわれた手によって強引に視界を変えられた。



切り替わったそこに映るのは、不敵な笑みを吊り下げている私の恋人。





「真白。」


「な、なに。」





不覚にも見惚れてしまったせいで、一瞬言葉が詰まってしまった。





「夏だ。夏休みだ。」




そんな私なんて気にも留めていない様子の相手は、白い歯を輝かせた。

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