第56話

剣の返答に対し、夢月の目は死んでいる。



もう一切笑ってない。あの寛大で優しくて穏やかな夢月なのに。





「はぁぁぁ。」


「どうした会長職に疲れてんのか?」




十中八九テメェが元凶なんだよ察せ。




非常に大きな溜め息と同時に、机に項垂れる幼馴染に心から同情してしまう。



分かるよ、猿と話してる気分になるんだよね。





「開花の教師から聞いたけれど、君達全員この夏休みの前半は補習が入ってるんじゃなかったっけ?」




ぜ、全員!?!?!?



夢月の投げた質問に初耳な情報が入ってきてびっくらこいた。




通りで揃いも揃って制服なわけだよ…漏れなく補習だったわけか。





「そうだ!!!俺は7教科補習だ!!!」



威張るな!その口塞ぐぞ貴様。




「どうして7教科も補習を抱えている君がまだ午前中のこの時間に、ここに来ているの?補習の時間のはずでしょう?」




どうせ剣の事だ。


弱者を脅し立てて、回答を丸写しして貰ったんだろう。それかボイコットのどっちかだ。




…後者が有力だな(彼氏なのに信用ゼロ)

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