第50話

「お邪魔しても良いですか?」




コテンと首が傾げられたと同時に、彼の頭に立っているいくつかの寝癖がピョンと跳ねて揺れる。



か、可愛いかよ…。




しかもちゃんと礼儀もできておる。



総長とは偉い違いだよ、もう飛鳥が総長するべきだよ人間性的に。






「おう、入れよ。」




お前が答えるんじゃないよ。



マフィン詰め込み過ぎだろ、ハムスターみたいになってるぞ。





「うわ、汚っ。鶏みたいに食べ散らかしてるじゃん。」




剣の膝に零れたマフィンの欠片を見て、とてもとても分かりやすく軽蔑した目を向けるりー君。


でもりー君は何も間違ってないよ、貴方は正しい!!!





「それじゃあお邪魔しま…「そんな畏まらなくていいっしょ。門倉道梨入りまーす。」」





何だそのガンダムのパイロットが出撃する時みたいな言い方は。



丁寧にお辞儀をしてから入ろうとした飛鳥の後ろから現れて、「夏休み楽しんでる~?」って言いながら入って来た非常識その②。




「真白、夏が来たよBL読むしかなくなーい?」




何処のギャルだよ。



しかも夏とBL関係なくなーい???





「痛っ!!!おい道梨何でお前俺の上に座るんだよ。」


「あ、ごめんいたんだ剣。見えなかったよ、あんた存在薄いからやっぱり僕が総長するべきじゃない?」


「お前わざとだろ!!!!総長決めジャンケンに負けた自分を恨むんだな。」


「チッ、死ね。」




シンプルな悪口笑うんだけど。



可愛い顔を歪ませて剣に中指を立てる男の背後で、宮園蘭氏は顔を真っ赤にして目を忙しなく泳がせていた。

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