第62話

ここに連れ込まれた時から気になっていたんだけど、何で普通の高校の教室にソファやら冷蔵庫やらが当然のように備わっているの?



まるで花咲学園の生徒会室みたいだ。




「ここの部屋って本当に学校?こんなに設備揃ってるの可笑しくない?」




それともうひとつの疑問。



「三人ってどういう関係なの?」




これが一番重要かもしれない。


何故なら嫌な予感がしてならないからだ。




この三人を見る限り、お互いの事を下の名前で呼び合っているし、非常に仲が良さそうだ。





「何、あんた僕達の事知らないの?」


「うん、変態と美形と変態って事しか知らない。」


「随分と最低な認知の仕方だな。飛鳥だけ美形って贔屓しすぎでしょ。」



一つ、溜め息を深く吐いた可愛い変態はテーブルに腰掛け足を組む。


制服のズボンの上からでも分かる美脚に自然と目が向いてしまう。



「僕の股間ばっかり見てどうしたの。あんたも変態じゃん。」


「無駄に脚綺麗だから見てただけよ!勘違いしないで!!!」


「ふーん、実際はどうだか。まぁいいや、僕の名前は門倉 道梨かどくら どうり。道梨って呼んで、門倉は響きが不細工だから拒否。」



響きが不細工ってどういうこった。


いちごみるくを飲んでるだけだというのにやたら様になっている道梨の足元に転がっていた屍が、ここに来てむくりと起き上がって道梨を指差した。



「マカロン、こいつはただの男好きだ。」


「僕は男同士の恋愛が好きなだけ!!!男好きな訳じゃないから!!!」



いやいやいや、男同士の恋愛が好きなのも中々の癖だけど。


そして、マカロンっていつまで言うつもりだこいつ。



「剣と飛鳥と僕。それから……「遂に完成したわ!!!今すぐこの力作を着て頂戴よ道梨!!!」」



道梨の声が遮断されたと同時にフリルだらけのワンピースを掲げながら入って来た一人の男。


色が綺麗に抜かれた短髪と、整った顔の鼻と唇につけられたピアス。



「良い所に来た。これ、オネェ口調だけどバリバリ男の沖田 宵おきた よい。」



強烈すぎる登場人物を冷静に紹介してくれた道梨が天使顔負けの笑みを浮かべた。

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