第52話
バタン
衝撃的な光景を前に、現実逃避をするように扉を閉める。
そしてすぐさま頭を抱えた。
「え?え?今人間いた?え?何で?ていうか誰!?」
幻覚だったのだろうか…いや、幻覚であって欲しい。
ていうかめちゃくちゃ可愛くなかった?
何か顔火照ってるのかほんのり赤かったし、少し息も荒い感じじゃなかった?
え?何?さては夢月の追っかけ?夢月で興奮している質の悪いストーカー?
それとも……。
「ま、まさか…夢月の女?」
無理死にたい。
嫉妬心を無意識に煽られた男が女に媚薬を飲ませてここで俺が帰って来るまで我慢しててね、お仕置きだよ。的なよくあるそういう展開の奴じゃないのこれ(漫画の読みすぎ)
え、じゃああいつ夢月にお仕置きされてる最中って事?
はーん?羨ましい死ぬ程羨ましい。
「夢月の女なんて許せない!!私だってエッチなお仕置きされたい!!!!!」
「うっさいな!!!!誰が女だ!!!!!」
思わぬ形の失恋に絶望する私の前にロッカーから飛び出してきたさっきの可愛い人。
「僕、男なんだけど。失礼な奴。」
視線を床から上昇させれば、その人が腕を組んで頬を膨らませていた。
え、あれ、男…?
「…いいよそんな気遣わなくて…男の制服着てるだけの女の子でしょ。今流行りの男装女子でしょ。」
「違うって言ってるでしょ!!あんたはもう少し気を遣いなよ、男の僕に女女ってどんだけデリカシーないのあんた。」
「え?じゃあ本当に男の子なの?」
「そうだって言ってるじゃん。ちゃんと付くもの付いてるし。」
そう言って彼が指さしたのは股間。
「…ごめん、小ぶりなのかな、全然分かんない。」
「なっ…小ぶりでもちゃんとあるし!!!!」
顔を真っ赤に染めてキーキーと叫ぶ相手は、改めて見てもやっぱり可愛い顔をしている。
正直あまりの可愛さに敗北感しかない。
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