第24話

全身の血の気が引くのが分かる。



真顔で自分の股間をまさぐっている男の手が、完全に長い何かを掴んでいる形になっている。




待て。それを出すんじゃない。



私は夢月のそれにしか興味ないの!!!!




「あーくっそ!!!!!」


「うわっ。」




突然絶望したように地面に崩れ落ちた鬼帝を、私は素直に軽蔑した目で眺める。



息子を触っていた癖にその手で己の頭を抱えている汚さ。



手くらい洗えよ。



忌々しそうに舌打ちをした後、鬼帝が悔しそうに嘆いた。




「さっき5発出したから元気がねぇ。全然小せぇ。」


「………。」




地面を殴って本気で悔やんでいる。



え、怖い。何この人やべー奴じゃん。




「ここは品のある女が揃ってるからつい盛っちまうんだよ。」


「は?」


「俺のテクが最高すぎて女が煩く啼くもんだからよ、毎日のように見つかっちまうんだけどよ。」


「おい。」


「でもやめらんねーのな。だって俺ヤりたい盛りじゃん?」


「知らねーよ。」


「で、今日も見つかっちまって逃げようとした所にお前がいたわけだ。」





ああ、頭が痛い。



連日の学校内で起きていた鬼帝による問題。



いつも詳細を尋ねても、夢月や鈴に曖昧に言葉を濁されていた。


知らなくて良いんだよって言われていた。




その理由がたった今明らかになった。




要はあれだ……。

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