*O

第22話

最悪だ、夢月を生徒会室で待とう作戦に切り替えたところだっていうのに、まさか鬼帝本人に出くわすなんて。




「おら、直接聞いてやるよ。俺がどうしたんだよ。」




指の骨を響かせて近寄る鬼帝。


こいつ思い切り殴るつもりだよ。何言っても絶対ぶっ飛ばされる気しかしないんだけど。




「言ってみ?」




妖艶。そんな言葉が似合うと思った。


顔が整った奴に責められるのは、それなりに迫力がある。




鬼帝の指が私の顎を掴んで上を向かされる。




「あ、あれ、何の事言ってるんですか?人違いじゃないです?」




自分でも下手な嘘すぎると思った。


口から出た言葉はオール棒読み。



鬼帝の眉間に皺が寄る。


それからワナワナと震え始めた。


どうした痙攣か?




「ふざけんな!!!俺は聞こえてたぞ!!!お前俺の事ぶっ殺すって言ってたじゃねーか!!」




マジで全部聞いてたんかよこの男。



何も気づかなかったよ、存在感なさすぎんだよ。




「あ、あっれーそんな事言ったかな。」


「まだ惚ける気かよこのアマ。あっちに動かぬ証拠もあるだろうが!!!」




またも指差された『鬼帝死ね』の文字。




「ちっ…。」


「あ!てめー今舌打ちしたな!?とうとう本性見せやがったな!?こっちはさっき散々お前の本性見てんだよ、今更可愛い子ぶってんじゃねぇ。」


「はぁ?可愛い子ぶってるんじゃなくて、可愛いんです。馬鹿かお前。」


「可愛い女が馬鹿とか言うかよ!こんな女初めて見たぜ。」


「煩いな、少し黙ってよ。」


「俺に指図すんじゃねぇ。」




ふざけんな何様だこいつ。


不快そうに顔を歪める鬼帝に苛々が募っていく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る