第20話

男が身に着けているのはうちの制服じゃない。


隣の開花高校の物だった。



ダークブラウンとシルバーでフリンジグラデーションが施された髪は、無造作にセットされている。



顔は説明がだるいから要約するとイケメン。それはもう滅多にお目に掛かれないレベル。



男らしさが際立つ出で立ちは、恐らく相当女にチヤホヤされると思う。




「お前の独り言でけーから、全部聞こえてた。」




軽々と塀の上から跳んだ男が私の目の前に降り立った。


え、何で降りたの。帰れよ自分の地元(学校)あっちじゃん。




にやり。


男の笑みがやけに不気味に映る。





「…で、俺に何か用か?」


「は?」


「俺に用があんだろ?」




笑みを崩す事ないまま、男が指差した先。



『鬼帝死ね』



そこには、私が刻んだ恨みの一文があった。

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