蒼い虎

第68話

「さて、と。榊と篠宮。

ありがとう。美織を助けてくれて」

二人に向かって頭を下げる。

ぶっちゃけ、助けたの私だけどな！！まぁ赤猫ってバレたら色々とめんどくさいので此処は蒼虎のお陰と言う事にしておく。

「いえいえ、無事で何よりです」

「…。」

「ほら、美織も」

「あの、改めて。ありがとうございました」

頭を下げてから顔を上げた美織の頭を撫でる。

「気にしないでください。

でも、ちょうど見回り中で良かったです」

眉を下げて笑う篠宮に、確かにと頷いておく。

「…巴衛」

「何？榊」

「俺は美織を姫にする」

「ああうん、その事について聞きに来たんだよね。

…美織は、どうしたい」

ちらりと視線をよこせば、ちょっとだけ視線をうろつかせてからにへらと笑う。

「私は、別にやってもいいかなーって

あ、もちろん姫になるのは巴衛も一緒ね！？」

「そんな簡単に決めていいの？暴走族の姫だよ？

と言うか、私も入る前提なのね？まぁいいんだけどさ」

「…そりゃ、姫になる事を簡単に決めた事じゃないよ？

友達の榊くんの為だもん！」

友達…

友 達……

友 達………？？？

静かになった空間に、美織の言葉が反響する。

「え？何か変な事言った？私」

「…そうだね、それでこそ美織。気にしなくていいよ、友達の榊のためにも協力してあげたら」

「うんっ！！」

にこやかな巴衛とは裏腹に、

…榊はかなり傷付いている。

「…」

「しっかりしてください、志都。

自分で言い出した事でしょう…」