第67話

ガラリ、部屋に入ってまず驚いた。

何がって…



「なんだここ。普通に部屋じゃない?」


「ああ。許可が降りたので好きにさせてもらってます」


「へぇ」



要は私物まみれだ。まぁいいや、それより。


「…美織。おはよう」



「と、巴衛えええ!!

…むぐっ」


私を見つけてパッと笑顔を作り、勢いよく抱きついて来た美織の顔をガシリと抑えて、私はニコリと微笑む。




「あの、巴衛さん?」


美織の声がちょっと、いやかなり、震えてるけどスルー。



「いやぁ、驚いたよ。驚いた。部屋に入ったら美織と榊がイチャイチャしてるなんてねぇ」


いやほんと驚いたよ。

まさか榊の上に座って、話しながらお菓子食べてるなんてー、ねぇ?餌付けされないの!!このおバカ!!



「いや、あの、なんかごめんなさい?」


「分かってないでしょう、美織」


「すいません」


「じゃあまず質問。昨日早く帰ってこいって言ったよね?何でこんな事に巻き込まれてんの」


「いや、あの、襲われそうになって…助けてもらいました」


「だから、何度も何度も言ったでしょう。

美織は可愛いんだから襲われるって」


「…ごめん。よくわかってなかった」


「…ハァ」


「ビクッ」




ビクビクしてる美織を、ふわりと抱きしめる。


「無事で良かった…」


「…ごめんなさい~!」


「…ううん、私も怒って悪かった。

ホントに心配したんだから。」



仕方が無いよね、美織の天然は今に始まった事じゃないんだから。

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