第65話

私は、廊下がざわついてるなんてどうでもいいと言わんばかりに、イライラしつつスマホを取り出して美織に連絡をしようと…




し た の だ け ど。



私の前に、人影ができる。



「…?」


不思議に思い顔を上げて。

…とりあえず驚いた。




「おはようございます、巴衛さん」



にこりと胡散い笑顔を浮かべる、眼鏡くんがいたから。



「…あー。おはようございます?篠宮くん」


にこり、腹立つその笑顔に答えるかのように私も笑ってやる。



「…少し、お話があるのでついて来てもらえます??

…美織さんの事で詳しく」


最後の方は声を潜めて伝えてくる。

そんなの美織が直接話せばよかったのに。


まぁいいや。あの子がそれどころじゃないかもだし。




「わかりました。

…穂花ー、先生に私と美織は蒼虎に拉致られたって伝えて」


「はぁーい」



立ち上がったと同時、椅子が鳴る。

穂乃果に見送られて、

私は仕方なしに篠宮の後ろについて歩く。






わー、視線が痛い。

…早く着かないかな。美織に会いたい。

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