第10話

それから、あっという間に数年の時が過ぎて。



私たちは、今日から中学生になる。


新しい学校とか凄く嫌だけど、義務教育だから必然的に進級する訳で。


何で嫌か?

…美織と中学校が別になるからだ。



美織は家の近くの公立。

私は、少し離れた所にある私立の名門校。


受かった事には喜ぶべきだろうけど、心から喜べない。

…だって、“学校”というやっと美織と楽しく話せる場所を見つけたのに。…これからまた話せなくなる。





「…嗚呼、嫌だなぁ…」


空が、黒く澱んで雨が降ってきた。


まるで、私の心をそのまま写して

泣いてるみたい、なんて詩的なことを思った。

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