第93話

車窓から望む見慣れた風景があっという間に流れていく。


放課後の電車。


電車内の顔触れもほとんど同じである。




いつもなら帰宅後の過ごし方を考えて潰すこの時間。しかしながら今日はそれもできそうにない。




「皆現地に到着したらちゃんと時雨ちゃんから逸れないようにしようね。」




何故なら私の横一列に性吐会の面々が腰を下ろしているからである。



最悪だ。どうしてこうなったのだ。


愉快気に声掛けをしている昴晴先輩を横目に、できる事なら今すぐここから消してくれと非現実的な祈祷を心でする。




「大丈夫、ちゃんと500円分のお菓子は買ってきた。」



何一つとして大丈夫ではない。


大体遠足でもないのにどうしてそんなに張り切っているのだ、しかもいつお菓子を準備する時間があったのだ。



購買の袋を掲げて見せびらかす霰先輩の片方の手は、ちゃっかり私の脚の上。さっさと退去願いたい。




「バナナはおやつに入らないだろ?カナちゃんが食べたいって言ってたから持って来た。」



カナちゃんに責任転嫁するのは非常に良くないと思う。


こんな分かりやすい嘘を初めて聞いた。




「霰も次曇も素敵だよ。僕もしっかり一眼レフ持参してるから任せてね。」



一体何を任せれば良いのか説明して欲しい。




「これで南青雹市にいる美しいおっぱい様を収めるよ。」




誰か早急に110番通報して下さい、ここに堂々と犯行計画を打ち明けている変態がいます。

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