第91話
「…本当ですよ。」
そう返した私の声は震えていなかっただろうか。裏返ってはいなかっただろうか。
自分で判断できる程の冷静さを生憎失っていたから分からない。
ただ。
ただ…。
「そっか、そりゃあそうだよね、あはは。」
いつも通りに人を騙す爽やかな笑顔を撒き散らした昴晴先輩に対し、溢れる罪悪感で胸がやけに痛んだ。
「それじゃあ今日の性吐会活動は、時雨ちゃんの自宅訪問にしようか。」
「賛成。」
「即答止めて下さい、ていうか勝手に決めないで下さいよ。」
パンっと昴晴先輩が両手を合わせたと同時に乾いた音が短く鳴る。
予想していなかった発案に驚愕したのは私だけ。すぐさま霰先輩は首を縦に振っていた。
「時雨の地元行ってみたい…って、カナちゃんが言ってる。」
「カナちゃん少し私とあちらでお話ししましょう。」
何て事を愛しいカナちゃんに言わせているのだ、人形を愛でる時間が私ごときに削られても良いのか。
「じゃあ決まり!今日の放課後正門に集合してそのまま時雨ちゃんの地元ツアーしようね。」
「「はーい。」」
「いや待って誰も良いなんて一言も言ってな…「多数決で可決となりました、時雨ちゃんの意見は受け付けません。」」
どうしてだ、控訴させてくれ。
ニヒルに笑う美しい男。この性吐会はあの男の独裁政権下にあるらしい。
おのれ天文昴晴!!!!
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