第79話

この一ヶ月。


実に長い様で短い物であった。



日を追うごとに、性吐会に新入会員それすなわち私が入会したという噂は尾びれを付けてどんどん広まり、これ以上にない孤立を突きつけられていたと思っていた教室内では更なる仲間外れを受けている。



無人島に住んでいるのだろうか。そんな気持ちを抱く程に、私はクラスどころか学年でも望んでいない孤独を提供されている。大変に嬉しくない。


ポツンと一軒家も驚愕の孤立した日常で、唯一私を迎え入れてくれる集団が奇しくも性吐会の人間という悲劇。




散々である。怠惰に溢れ、波風立たぬ凪だけれども幸福な薔薇色高校生活はいずこ。



現在進行形で日に日に孤独を強く感じ、日に日に天文昴晴への殺意は募っていく。





「あの男にどうか名もなき重い罰が当たりますように。」




そんな願い事を就寝前に夜空を飾る星々に言い聞かせているけれど、未だそれが成就する気配もない。


因みにではあるが、もしも本当にもしも性吐会の活動内容に興味関心のある読者がいた場合の為に説明しておくが。




「やぁ御機嫌よう、時雨ちゃん。本日も孤高の生活お疲れ様。」


「誰のせいで独り身になったと思っているんですか。」


「さて、誰だろう。僕でないのは確かだ…「あんたですよ。」」




全員揃いも揃って省かれ者である性吐会の人間は、毎日昼休みになるとここ視聴覚室に集合して食事をしている。

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