第18話

全身全霊で見なかった事にして記憶を抹殺しようと試みていたというのに、まさか本人自ら出向いてくるとは思いもしなかった。



しかもオペラグラスが手に持たれたままである。


やはりさっき女性の淫行動画を眺めて興奮していたのは、この人だったらしい。




相も変わらず、初めて会った時の様に爽やかな風を吹かせている相手の笑顔がとても眩い。100万ドルの笑みだ。





「やっぱりこの子が昴晴の言ってた新会員ちゃんかぁ。めたんこ可愛い子ちゃんじゃーん。ま、俺のタイプじゃないけどねん。」




は?



何だか一方的に振られたように聞こえるのだが……は?





「そりゃあ雷知らいちはロリコンだからね。でも時雨ちゃんはこう見えて素敵なおっぱい様をお持ちなんだよ。」




あんたは私の何を知っているというんだ。


そしていつの間に私の胸囲を把握していたのだ。




「はぁ~。ほーんと、どうして昴晴が巨乳に性的興奮を覚えるのか俺には理解できないって感じ。普通に考えてこの世で5歳児が一番可愛いもん。」




その思考こそ理解に苦しむって感じなんですけど。



呆れた視線を天文さんに突き刺した男が、ぬいぐるみが大量にぶら下がったリュックから取り出したのは、某人気子役が主演を務めたドラマのDVDだった。





「今日こそマイハニーをあの大画面に映して、俺の欲求を満たさせてもらうからねん。」




口角を吊り上げたその人は、ジャケット写真の子役にちゅっと優しく口付けをした。

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