第15章 チェリーブロッサムとオ-キッド

第1話 赤い石

第13話

ザクラside

「50代目、50代目!」

誰もが眠る夜中、マルリトスに呼ばれて目を覚ました。

「大丈夫か!?うなされておったぞ!?」

マルリトスは心配そうにそう言う。

「うなされていたのか・・・」

「ああ」

ふと鏡を見れば、顔が汗で濡れていた。

顔だけじゃない、体全身が汗で濡れている。

「大丈夫か、ここ数日うなされていることが多いぞ?」

確かに、16日の夜からうなされて起きる、というのがずっと続いている気がする。

「もし、気になるならば、水神の巫女にでも頼んでみるか?」

「大丈夫だよ、お化けとかそういう類ではないと思う」

「・・・やっぱり、あの夢か?」

マルリトスの言葉に私はうなずいた。

うなされて起きる夜、たいてい不思議な夢をみている。

夢にしては不思議なもので、全部の夢が物語のように繋がっている。

そしてその不思議な現象のスタートは、15日の昼寝の際にみた夢のようだ。

15日の昼寝では、『あるカップルが仲睦まじく、マルリトスそっくりな猫と暮らしていたが女の人が死んでしまう』夢。

15日の夜は、『恋人が死んでしまい生き返らせようとした男は、あらゆる魔術を手に入れていた』夢。

16日の昼寝では、『あらゆる魔術や禁術を身につけた男は、世界を荒らしはじめた』夢。

夢の中で、たくさんの人が死んでいった。

16日の夜では、『世界を救うため、3人の勇者が現れ、男の力を4つに分けて封じた』夢。

そして、今。

『男が目を覚まし、力を探して動きまわる』夢をみた。

今日はたまたま昼寝をしていなかった。

「はぁ・・・」

汗で濡れた体を拭う気力さえなく、再びベッドに横になった。

「50代目、せめて着替えなよ」

「イヤだよ。だってどうせまた変な夢をみるかもしれないし。いや、たぶんみるだろうから」

「だとしても、風邪をひくぞ?」

「はいはい」

そうしているうちにまぶたが重くなっていく。

あ-、また変な夢をみるのだろうか。頼むから、普通に寝かせてくれ。

「あ、ほら!濡れたままで寝るなって!」

マルリトスの声が遠のいていく。

そう感じた瞬間、私の意識は途絶えた。

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