第41話

北斗の話通り、ザクラたちの船はとある港に着いた。

いくら世界を旅しているといえど、燃料と船員たちの生活の用品は減っていく。その補給をするため港に寄る必要があった。

「ザクラ、ちょっとおつかい頼んでいい?」

とりあえず陸に降りたザクラに鈴が声をかけた。

「いいよ。なんのおつかい?」

「これと、これがあったら買ってきて欲しいんだけどいいかしら?」

鈴は買い物リストらしき紙切れをザクラに見せる。

「あ-、いいよ。お金はどうしたらいい?」

「これを使って。足りなかったらザクラから出して、あとで請求してくれればいいから」

「うん、分かった」

鈴からお金を受け取り、ザクラは買い物リストと共にデニムのパンツのポケットにしまう。

「マルリトス。ザクラについていってあげてくれないかな?」

「え-、50代目の?」

「大丈夫だよ、鈴。たかが調味料じゃん」

ただいま絶賛ケンカ中で、顔も合わせたくない2人は嫌がる。

「なんかあったら嫌じゃない。本当は、北斗や星利たちにお願いしたいんだけど忙しいみたいで」

北斗は燃料を入れるため、船についていなくてはならない。星利は自室でやることがあるらしく船から降りてきていない。かといって、蘭や星香となると、万が一の際に足手まといになる可能性がある。鈴は鈴で買い物に行かなくてはならない。

「そういうことで、マルリトスお願いできるかしら?」

よく考えてみれば、マルリトスもただの猫。だが、誰もいないよりは安心だった。

「・・・仕方ないのう」

鈴のお願いにマルリトスは承諾し、ザクラのおつかいについていくことにした。

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