第13話
「はい、ザクラちゃん。」
夕食後、ザクラがリビングで本を読んでいると北斗がたくさんの本を目の前に置いた。
「ありがとう。読み次第返すね。」
「うん。」
「本?」
コーヒーを飲みながら星利が訝しげな顔をする。
「うん。私が持っている本だけじゃあるかわからないから。北斗に本を貸してもらうことにした。」
「おい、主語が抜けてんぞ。」
「ああ、ごめん。」
ザクラは笑って本にしおりを挟み、顔を上げた。
「あの予言の打開策だよ。」
その言葉を聞いてリビングの空気が静かになる。
「お前が生き残るための方法・・・。」
「考えたんだよ。このまま何もしないよりは何か対策を練ろうと。」
仲間たちはザクラを黙って見ている。
「でも、何をしたら分からない。なんせ、自分が海救主だということも知らずに生きてきたから。北斗みたいにそういう類の知識を教わっていないからね。」
ザクラは母が遺した本の表紙を撫でる。
「今になって先代の海救主が遺した知識を追いかけている状況で。でも私が探していることがここにあるとは分からない。だから、私と比べてそういう類が強そうな柊家の書物を頼ることにしたんだ。」
「なるほどな。」
「それで何か打開策があればいいと思っている。」
「いや、必ずある。」
「え?」
「お前、死にたくないんだろ。打開策がないと死ぬ運命しかないじゃねぇかよ。」
「そりゃそうだけど。」
「お前はこれから本で打開策を調べるだろうけど、俺らもいるんだからな。」
「は?」
「だから!」
星利はバンとテーブルに両手をつき、ザクラの顔を覗き込む。
「お前は一人じゃねぇんだよ。北斗に頼ったみたいに俺らにも頼れよ!そりゃ、北斗みたいに知識もないし、強くはねぇけどよ。でも、お前がもがくのをただ黙って見ているのが仲間な訳ないだろ。」
「星利・・・。」
ザクラが嬉しそうに口角を上げたのを見て、星利は慌ててテーブルから離れる。
星見の王の力の源である、輝石を飾る耳が赤くなっているのを見て北斗たちはにやつく。
「ま、まぁ。お前には死なれたら困るんだ。だから、死ぬな。」
「うん。」
ザクラが花を咲かせたように笑う。それを見て星利が顔を赤らめたのは言うまでもない。
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