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『れ、れいあにうえ……ははうえは、どこですか?』


 二番目の兄に母の行き先を尋ねたこともあった。


『ん? 僕の妹姫じゃないか。どうした? そんな顔をして』


 にこにこと、否、にやにやと、泣きそうな妹を見て笑う兄に訴えた。


『ははうえが、いらっしゃらないんです……』


『ああ、なるほど。じゃあ、一緒に探してあげようか、薔』


 それは予想外の申し出だった。


『れいあにうえ……!』


 表情を明るくしかけた薔崋の背後から、


『待て』


 抑揚のない、冷たい声がした。


『あれー、仁兄上?』


 おずおずと振り返ると、そこにいたのは一番上の兄だった。


『礼、お前が探す必要はない。薔崋。母上は、お前ひとりでお探ししなさい』


『じん、あにうえ……』


 仁は、幼い妹に目線をあわせてしゃがみこみ、その髪をひと撫でした。



『お前は一族でただひとりの女の子ども。どんなものにも立ち向かえるように、独りで立ち続けなさい。修崔薔崋』



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