第13話

「絶対に他の人には内緒にしてくださいね」


あたしは緊張して、自分の唾を飲み込んだ音がはっきり聞こえるくらいだった。


「鈴宮さん、目を閉じてください」


言われるがまま目を閉じると、唇に何か感じた。


何だかビリビリする、目を開けると先生が目の前に。



ーー今、先生にキスをされたーー


「文化祭に来てくれて、僕の作品を褒めてくれた時から鈴宮さんが好きです」



嘘だ、先生があたしを?




「僕、実は教師を辞めて、絵も諦めようとしていたのです。鬱になりかけていました。僕は絵が好きだけれど、絵に対して一生懸命な人間が周りに居なくて、教師になった意味すらなかったんじゃないかって。だから眩暈げんうんは最後の作品にするつもりでした。でも、鈴宮さんが目を輝かせて僕の絵を褒めてくれた時、救われたのと同時に、恋してしまいました」


そんな風に言われると先生の顔をまともに見られない。


まるで心を先生にわしづかみにされてるみたいで、今までにないくらい胸が高鳴ってる。



「これが先生の秘密です。鈴宮さん。今のは忘れてください。今まで通りにいきましょう。感情が高ぶってつい、してしまったので恥ずかしい。それに僕は教師ですから、生徒を好きになるのはいけないのです。この気持ちはなかったことにしてください」



先生の秘密を知ってしまった。

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