第88話

8.れんな様の慈しみ







【蓮伽、ごめんなさいね。龍さま、やっぱりあなたの所へいったのね。今、大変な時なのに・・・】







—――――――――――――――ところ変わって、上空。れんな様の羽衣に抱かれ空を飛んでいる最中








「いいえ、とんでもない!れんな様こそご無理をなさっておりませんか?龍神様に聞きました、お子達のお世話、中々ハードなようで・・・」




【ふふっ、さすがに龍様と蓮伽の血、パワーが強くて、少々手こずっていて(笑)】




「ふふっ、双子ですものね(笑)配慮出来ず、申し訳ありません。」




【いいえ、良いのです。舞翔にも悪い事をしました。】




「いえ、それこそ良いのです。少し成長してもらわねば困ります(笑)」




【それは無理な話です(笑)龍様の血筋ですから、嫉妬、ヤキモチは一生ですよ。覚悟を決めないとダメなのは蓮伽の方です(笑)】




「そうですか・・・・(笑)かしこまりました。ところで、龍神様とお話は?」




【しておりませぬ。空から、二人が見えて、居てもたってもいられず降りて来ました。】




「本当にどんな時もれんな様の優しさに包まれて、わたくしは幸せでございます。」




【蓮伽、その言葉だけで、私は嬉しいですよ。いつでも、あなたのそばにおりますゆえ何かあったらすぐに呼びなさいね。】








いつでもれんな様は温かい、私の理想だ。







「さて、れんな様。お子達は私が一日あずかりますゆえ、ごゆるり龍神様となされませ」




【ありがたいですが、それでは蓮伽に迷惑をかけてしまいますゆえ・・・】




「都度、龍神様が来て【淋しい】と言われた方が困ります(笑)」




【・・・淋しい?そうですか・・!(怒)いつまでたっても子どもでどうしようもありませんね。】






れんな様の可愛さに思わず笑ってしまった





飛龍も風龍もご機嫌でこちらを見て笑っている





「れんな様、龍様の御子でパワーが激しいのに二人一度ですから、さぞかし大変な事と思います。

今日は、わたくしめに母をさせてはいただけませぬか?明日、お返しいたしますので。」




【蓮伽、甘えてよいのですか?】





「当たり前です、みんなで慈しんでお育て致しましょう。ね、双子達」





見ると、大きな目をクリクリさせて二人とも笑っている。





【ありがとう、あなたは本当に慈愛に満ちた素晴らしい女性です。】





「れんな様の血筋ですから(笑)」





優しいいつものれんな様に戻ったようだった。









・・・・・・・






・・・・・・・






冷たい風と空気が私達を包んだ。






【れんな!・・・・蓮伽も一緒だったか!】






おろおろとして威厳もへったくれもない龍神様のお目見えだった。





「龍様、なんとみっともない声ですか(笑)」





【言っておるだろう・・・・・私はれんながいなければ耐えられないのだ。】





【・・・・・・】





「龍様、何かいうことは?」





【・・・・あ、あぁ・・・・す、すまぬ。】





「もう少し、ちゃんと、ハッキリと(笑)」





【れんな、悪かった。大変とわかっていても、淋しいのだ。ワガママと言われても、我にはれんなが一番なのでな。】



【ごめんなさい、私も余裕がなくて・・・】








仲直り出来たようである。








さて、うちはどうするか。







「ふふっ、良かったです。双子達は丁重にお預かりいたします。」






【あいわかった。舞翔のもとへ帰るか?】





「・・・・羽衣を貸して頂けますか?少し、空を舞ってお子達が寝たら、帰ります。」





【・・・・そうか、わかった。ではこれを持ってゆくとよい】








一枚のとても綺麗な羽衣を差し出された






「これは?」






【蓮伽用に繕っておいたものだ。いずれ渡そうと思っていた。龍さまのひげも編みこんであって空を飛べるのと何かあった時にお前の助けになるかと思うてな。】





「・・・・・ありがとうございます。・・・・舞翔のものはありませんか・・・・?」






思わずねだってしまった、深澤くんの分





【・・・・・ある。が、まだやらぬ。未熟なのでな(笑)時が来たら渡そう。】





「承知いたしました。楽しみにしておきます。」





【では、戻るが良い、蓮伽に貰った大切な時間ゆえ、時間の限り慈しみあうでな(笑)】






れんな様も嬉しそうだ。






「はい、ではごゆるりあそばされませ。」







龍神様とれんな様は風にのり、星が煌めく更なる天空へと消えて行った。







・・・・・・さて、うちの小僧はどうするか。







羽衣をまとい、二人をいだき風に包まれ星の中を進んだ

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