第8話
その言葉に、思考が止まる。
「その若さで島津のために自ら人質として名乗り出たその潔さ。この秀吉感服致した。
それ故、くれてやる。
数日の後に朱印状を送る。心して治めよ」
追いつかない考えの中、秀吉は父上にも声をかけているのをぼんやりとした意識の中で聞く。
「島津義弘。そなたには新恩地として大隅一国と
どういうことだ。
叔父であり当主の義久が豊臣に降伏した翌日には、薩摩一国を安堵されている。
ただ…島津家当主は三州太守。
つまりは薩摩、大隅、日向の三国の太守。
義久叔父上もその三国の安堵を望んでいたはずだ。
それなのに。
薩摩は義久叔父上。
大隅・日向は父上。
そして日向の一部である真幸院が…私。
————————これは。
「…有り難き幸せにて」
父上のそんな言葉と共にいつの間にか終わっていた謁見に、ただ呆然としていた。
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