第13話

はぁ〜、やっと終わった。


ある意味、醜態を晒した気分…。


けど、こうやって食べさせてもらったのって子供の時以来かも。


大人になってからもされるなんて思ってもなかったけど、弱ってる時にしてもらうと恥ずかしいけど、意外と嬉しいもんだな…。



そう思いながら、ふと課長を見るとまだじっと私を見ている。


「?」


「ついてる」


「え?」



私の頬に手を伸ばすと、親指で唇の端を拭ってそのままペロッと舐めてしまった。



「ごちそうさま」



「ーーっ!!」



色香漂う仕草に思わず心臓が大きく跳ね上がった。



見なくても分かる。



顔の熱が凄い!




課長は私の動揺をよそに、トレーをキッチンに運んでそのまま食器を片付けはじめた。


「あ、あの、課長! 置いててください。私片付けるんで!」



いくらなんでもそこまでしてもらうのは申し訳なさすぎる!



少しフラつく足で課長の側まで駆け寄る。


「いいから、お前は寝てろ」


「いえ、そんなことまで申し訳ないです!」


「そう思うなら、大人しくしてろって」


「でも!」


「病人にまで気ぃ遣われたくないっつーの」


「もう大丈夫ですから!」



フワッと急に体が浮いた。



「ひゃあ!」



「ったく! うーるーさーい。いいから甘えろ! 大人しくしないとほんとに食うぞ!」



「ええええっ!?」



引き下がらない私に業を煮やしたのか、お姫様抱っこをするとそのまま、またベッドの上に連れ戻されてしまった。



寝転ばされた私の上に覆いかぶさる課長。




ひゃ、ひゃあーー!!




脈打つ音が聞こえそうなほど、大きく鼓動が鳴り響いてるのがわかる。

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