第8話

翌朝目覚めると、天井がゆらゆら揺れている。

頭もボーッとして気分も悪い。



フラつく頭で体温計を測ると『39.1℃』が表示されている。



「風邪だ…」



昨日、課長が心配したとおりの結果になってしまった。



情けない。


あれだけ勢いよく文句言ったのに結局この有様…。



起き上がろうとしても体は熱いし言うことをきいてくれない。



ふと時計を見ると始業時間を過ぎている。




「あ〜…やばい」



枕元に置いてあった携帯を手に取り、重たい手つきで番号を押して会社に電話をかけた。



閉じたままの瞼で呼び出し音に耳を澄ませていると、ガチャっと応答する声が聞こえた。



「はい、堤です」



あ? え!? 課長?!




「も、もしもし坂井です。連絡が遅くなってしまってすみません。あの…やっぱり風邪を引いてしまったようで…今日お休みさせていただきたいんですが」



「あぁ、分かってる。ゆっくり休め」



「そ、それから…昨日は色々とありがとうございました。助かりました」



気持ちも体も弱ってるせいか素直に言葉が出てきた。



「いいよ、気にせず寝てろ」



「はい…すみません」




ホッとして電話を切ると、気を失うように眠ってしまった。

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