第2話
端正な顔をした美形で長身、なおかつ仕事も出来て気が利いて優しくて、そのうえ若くて独身。
モテる噂は数あれど女性の影を見たことがない、品行方正なデキるイケメンさん。
でも、そんな課長の本性が「俺様」だということをなぜか私は知っている。
だから社内でいつも猫を被って爽やかに対応している課長を見ると、裏表のギャップに騙されてはいけないと思っているのは、私だけじゃないだろうか。
もちろんそんなことを知る由もない女子達は、表の顔の課長を紳士だと言って慕って近づこうとしている。
ほら、今だって課長を狙う人が睨みをきかせて私の席を今か今かと狙ってるっていうのに。
そもそも私は、座席奥に座る課長を避けて真逆の出入り口側の席に座っていたのに、知らないうちに私の隣に座っていて驚いていたんだから。
「失礼します」
私はそそくさと個室を出ると廊下の御手洗いマークの方向へ歩いた。
戻ったら違う席に移動しよう…絶対!
私は直属の上司である課長を避けている。
避けているのを知ってて近づいてくるんだからタチが悪い。
まぁ、避けるといっても上司だから事あるごとに声をかけてくるし、仕事だってもちろん一緒に行う。
ただひとつ他の社員と違うのは、妖艶な眼差しと色気漂う口元で私のことを 「社畜の坂井」 と呼ぶ。
私だって好きで社畜と呼ばれている訳ではない。
そもそもの原因は課長にある。
いや、その元になったのは私だけど…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます