致死率35%

第101話

唇から伝う暑い体温。



一瞬、自分の身に何が起こったのか分からなかった。



咄嗟に身体を捩って逃れようとしたけれど、股の間に夜紘君の足が入れられ呆気なく逃げ道を断たれてしまう。




「んんっ…夜紘…君……んんっ…。」





酸素を求めて僅かに口を開いた刹那、遠慮なく入って来た彼の舌。



自分のそれを絡め取られ、くちゅくちゅと唾液の交わる音が耳を突く。



思考が融かされ、何も考えられなくなる。





このふわふわしたような感覚を、気持ち良いと言うのだとひー君が教えてくれた。




「日鞠、口を開けて僕を受け入れてよ。」




彼の甘い声が頭を過ぎる。



幾度となく、ひー君に教え込まれた身体は従順で素直だ。





「ん……っ…。」





口付けされたら受け入れる。


舌が入って来たら口を開く。




全部、ひー君によって刷り込まれた行為を身体が自然としてしまう。




「お前……。」




口を開いて夜紘君の舌を赦せば、相手は唇を離して私を凝視した。



どうしよう…私何か間違った事しちゃたかな。




ひー君に教えて貰った通り、キスを受け入れて口もきちんと開いたけれど、夜紘君の気に障ってしまったのだろうか。



いかんせん、これまでの人生ひー君以外の人とまともに接した経験のない私にはどの行動が正解で間違いなのか分からない。

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