致死率25%

第68話

千智君の言葉が、頭から離れてくれない。




自分から怖い人だなんて、普通は言わないだろう。


あの言葉の真意が分からない。



どれだけ思考を働かせてみても、結論が見出せない。


きっと、真意を知っているのは千智君……それと夜紘君だけだ。





「……?」


「……。」


「日鞠?僕の話聞いてる?」




突然視界を独占した綺麗な顔に、漸く我に返った。


怪訝そうな顔を浮かべ、首を捻っているのはひー君。



テーブルに並ぶお洒落なティーカップと、ケーキスタンドに並ぶ美味しそうなスコーン。





「あ、えっと…ごめんね。」




いけない、すっかり意識が逸れてしまった。





「今日はね、日鞠が好きなブルーベリージャムだよ。クロテッドクリームもあるよ。スコーンにも少しアールグレイの茶葉を混ぜてみたんだ。」




スコーンを割って、たっぷりのジャムとクリームを丁寧に載せたひー君が私の口の前にそれを持って来る。



バターの美味しそうな香りが鼻孔に届く。





「はい、食べて。日鞠の為に作ったんだよ。」


「うん。」




もうひー君ってば、自分でも食べられるっていつも言っているのに。



食べさせて貰う事に羞恥を覚えながら、ゆっくり開口すれば上品な甘さが口いっぱいに広がった。

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