第61話

「日鞠が愛おし過ぎて、全てを僕が独占したいんだ。」


「……。」




ひー君が長い髪が好きだから、切らないでと言った私の髪。


それに指を通して梳くように絡める彼は、もしかすると意図的に苦しくなる口付けをしていたのだろうか。





「僕がキスを深くすると、苦しそうに涙を目に溜める日鞠は可愛くて仕方がないよ。」




この世界で、私という存在を肯定してくれるのは彼だけ。


私を受け入れてくれるのは、幼馴染のひー君だけ。




そう教えてくれたのは、紛れもないこの美しい彼だ。





「心配しないで、愛してる日鞠を殺しはしないよ。僕はね…。」





“日鞠の呼吸さえも僕の物にしたいだけ”







ただ、それだけだよ。




甘美な声に乗せて落とされた言葉。



ひー君の印で、今日もまた、私の肌が染まっていく。

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