第62話

朝日が昇り、雀が鳴く。




時刻はAM:6:30




朝ご飯を作り終えた私は、キッチンから寝室に足を運んだ。




スーツの上着に腕を通していた彼は私に気付くと優しく微笑む。




高校時代から変わらない彼の微笑みに胸がドキドキと高鳴る。




「今日は青色にする?それとも紺色にする?」




熱くなった頬を隠すように彼に背を向けてネクタイを選んでいるふりをした。




「白色かな?」




彼は私をふわりと背後から抱き締めてそっと耳もとで囁いてくる。






「け、健斗……!」




朝から甘いムードを漂わせる旦那様に恥ずかしくなって、声だけで抵抗してみた。




「うん。なに?」




彼は別段気にする様子もなく、私の頬を撫でる。




「遅刻しちゃうから……!」




「大丈夫だよ。まだ時間に余裕あるし。」

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