第60話

「成宮君のス、ス、スケベ。」




「うん。美優だけにだけどね?」




そう言いながら、DVDをデッキにセットして再生を押した。




「わっ!始まっちゃう!」




さっきまで怒っていたのに、もう機嫌良くポップコーンを食べながらテレビに釘付けになっている美優を見て、バレないようにこっそり笑った。





美優は例えるならかき氷だなって思う。




無味の氷と何通りものシロップを持ち合わせていて。




何通りの味にもクルクル変化する。




だから飽きないんだ。




ワンパターンじゃないから。




甘いイチゴだったり、落ち着いた宇治金時だったり、はじけるラムネだったり……。




突拍子もなく変化して。




全く飽きない。




まぁ、どの味にしろ愛しいと思ってしまうのは……。






「惚れた弱味ってやつかな?」




「………え?何が?」












成宮君side───fin────



「時々頭が痛くなるんだけどね。」



「ねぇ、何の話?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る