第24話
「俺はレーシングの神って言われてる男やぞ。」
「じゃぁ、俺は音ゲーの神ー!」
そう言った俺に名倉君は不服そうに目を細めてくる。
放課後、ゲームセンターに来た俺と名倉君。
最近は、こうやって名倉君と2人でよく遊んで帰ることが多い。
でも、今日はちょっと違うんだよなー。
だって、今日は……。
「はは…。名倉拗ねてるよ。」
そう。
美優ちゃんも一緒!
美優ちゃんと放課後に遊べるなんて、今日の俺かなりラッキーだし。
「ねっ、美優ちゃんもレーシングより音ゲーの方が好きだよね?」
「私は、UFOキャッチャーの方が……。」
俺の問い掛けに困ったように俯いてモジモジしながら、そう答える美優ちゃん。
チラっと俺のことを覗き見たりする美優ちゃんは……。
「あぁー!もう、美優ちゃんマジで可愛いすぎー!」
もう、可愛いすぎて堪らなくて、俺はそう言いながら美優ちゃんにギュッーって抱き着いた。
「た、た、拓真君……!」
ますます真っ赤になって、慌てて俺の腕の中から逃げようとする美優ちゃんに苛めたい願望が込み上げる。
「止めなよ。拓真。」
あぁ、もう。
兄ちゃんさえ居なければ……。
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