第25話

そんな俺の願いも虚しく、兄ちゃんは俺から美優ちゃんを引き剥がす。




美優ちゃんの温もりが消えて寂しい。




なんて……。




「ちょっとだけー!」




「わっ、た、拓真君……!」




諦めないけどねー。




再び抱き着いた俺に、美優ちゃんはまた真っ赤になってる。




いちいち反応してくれるから可愛いんだよな。




美優ちゃんって。




胸キュンポイントがあるなら98%ぐらいはあるな。




うん。




「離れなよ。美優は俺のだから。」




そう言って余裕なくしかめっ面をする兄ちゃんはちょっと笑える。




ホント、好きなものにはトコトン執着するんだから。




「えー。半分こー。」




「絶対ダメ。」




「昔、母ちゃんだって言ってたじゃんかー!何でも独り占めしちゃ駄目だって。」




そう言いながら、兄ちゃんにニッて笑い掛けたら、兄ちゃんは呆れたようにため息をついた。




ちょっとくらいいいじゃん。




いつも美優ちゃんのこと、独占してさー。




いいよなー。兄ちゃんは。




美優ちゃんにゾッコンラブされててさ。

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