第15話

「ふーん。幸せそうだねー。あ、美優ちゃん。ポテト美味しそー。俺にも頂戴?」




それを聞いた拓真君はどこか不機嫌そうにそう言って、私が口に加えていたポテトをパクっと……。




「………え?」




「うん。美味い。」




食べた。




「いい加減にしろよ。拓真。」




それを見ていた成宮君が拓真君の襟首を掴んでグッと私から拓真君を引き剥がした。




怖いくらい表情の無いその顔は、鈍感な私ですら怒っていると理解するには充分で。




「兄ちゃんばっかり美優ちゃん独占して狡い。」




そう言った拓真君はもの凄く不満げで。




「ちょ…っ兄弟喧嘩すんなや。しかも、山崎の奪い合いって……。はははっ」




名倉はそんな2人を見てケラケラ笑ってて。




3人とも思い思いに感情を表に出す中……。




私はテーブルに視線を落として、沈黙を貫いた。




何も喋らない。




口を開いた時点で終わりな気がする。




いや、間違いなく終わりだ。




確実に動揺しているのがバレる。




驚いたとかそんな生ぬるいものじゃない。




例えるなら驚愕だ。




信じられなくて。




信じたくなくて。




でも、事実で。




成宮君は気付いたかな……。
















拓真君の唇が触れたこと。

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