第63話
「ないって、言ったよな?仮にあったとして…それが何なんだよ。職場の人間と会話するのは当たり前だろ。何が言いたいんだよお前…ウザいな」
「い、いや…何か俺が特別チャラいみたいに菜々ちゃんに思われたかなぁっと思って。颯斗もそういう経験あるよな?って言いたかっただけで、」
「鷺坂の印象が悪いのなんて今に始まった事じゃないだろ。今更菜々に気に入られる必要がどこにある?」
「……あのさ、そんなに怒ること?その調子だと逆に、何かやましい事があるんじゃないかって菜々ちゃんに思われても仕方ないと思うけど。」
颯斗の態度に苛立ったのか、鷺坂さんも少し口調が強くなり始めた。
何だか険悪なムードになりつつあるので、話を変えようと注文のタブレットを手に取りデザートのページを開いて二人に見せようとした時─…
「鷺坂に菜々のことを語られるのは、不愉快だ」
と、冷たく言い放った颯斗は…まだ残っているお好み焼きやもんじゃ焼きを放置して、私の手を掴んで席を立つ。
「あ、あの……颯斗っ、まだ残ってるけど」
「適当に誰か呼んで食べるだろ─…もう帰るぞ」
こんな別れ方をして大丈夫なのかと、振り返って鷺坂さんを見つめるが…彼は特に気にしていない様子で笑顔を向けて手を振っている。
男子の友情関係は私にはよく分からないが、そのうち仲直り出来るならそれでいいのだが。
結局、鷺坂さんの問に対しての颯斗の回答は…何とも曖昧なものだったように思えたので。今ひとつモヤモヤが晴れることは無かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます