【6】

行き場のない想い side 柚木①

(side 柚木)




 みんな、花火に見惚れている。

 そう、思っていたのだろうか。



 3年の女子生徒に腕を組まれたまま、僕は辺りを見回して平澤さんを探した。



 すると、偶然見えてしまったんだ。



 河原先生が、平澤さんを抱きしめるところを。




「………」




 ……残念、河原先生。



 隠しているつもりだろうけれど。



 それが通用するのは、花火を見ているという前提条件があってこそ。



 僕のような人には……見つかるよ。





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