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当時中学生だった私。
風が強いのに自転車に乗って帰っていると、高校の裏の辺りで自転車ごと溝に落ちた。
落ちた衝撃で飛ばされた私は右足を骨折し、動けなくて困っていたところ駆けつけてくれた人がいた。
その人は私を助け、救急車を呼んで中学校に連絡をしてくれた私の恩人。
後々、中学校の先生が、助けてくれたのは佐倉北高校の河原先生という人だと教えてくれた。
たまに高校の裏を通ると、タバコを吸っていた恩人。
恩人のいる高校に行きたい。
そう思い、今の高校に進学することを決めたんだ。
入学して河原先生の姿を見た時、やっと会えたって真っ先に思った。
お礼を言いたいって思ったけれど……その時はまだ怪我のことを引きずっており、話題を切り出す勇気が無かった。
大体、あの時のこと覚えていないかもしれないし。そう思うと余計に言えなかった。
「河原先生……」
1年の時から数学を教えてくれていた先生。
そんな先生の姿を見ていると、いつの間にか私の中で『恩人』から『好きな人』に変化していった。
その後、2年になり河原先生が担任になった。
それでもやっぱり怪我のことは切り出すことができなくて。言えなくて。
ただただ、好きという気持ちばかりを募らせていたのだ。
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